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2014年03月25日

丸麦の食感と甘さにわくわく/植えるCAFEの昼下がり

2008-09-25 08:00:08


最低限って、難しい。くすくす。


植えるCAFEさま駐車場へと続く道。十勝の農村にはこういった道がすっかり少なくなってしまいました。土埃を立てずにそろそろとまいりましょ。

植えるCAFE
河西郡更別村字勢雄38-5 ℡ 0155-52-3939
定休日 月曜 営業時間 11:30~15:00 ランチのみ

参考記事:
»始動間近、植えるCAFE/カシワ林の中の小さなレストラン
»植えるCAFE on last Saturday/なにも語らずに、静かなとき

 メインは「この日の」サラダの盛り合わせ元気画像。




 何度もお伺いしていて、一度も味わったことがなかったのですけれど、ついにこの日が来てしまいましたね。感慨深いものがございましたよ。

 本当は先週の敬老の日に訪問したかったのですけれど、月曜は定休日なんですよね。お電話で確認した時にもですね、「申し訳ありません。子どもも学校休みなものですから、遊んでやろうかと思いまして」と吉川オーナー。

 ガレットのminou minou cafe creperie francaiseさまも秋分の日は火曜定休でしたね。商 売、というのも大切なのですけれど、生 活というもののかけがえのなさ、ってのを重視する方もいらっしゃる。これ、考え方です。長く続けるためにはどちらが重要か、というのは経営者の生き方の問題なんでしょうね。



植えるCAFE農園で収穫されたばかりであろうズッキーニたち。昔でしたら、もろ観賞用って感じですよね。



こうやって眺めますと林の中の小さなオウチ、なんですけれど。屋根の上の牧草、しっかりしてきましたね。



小さい西瓜がなんとも言えず、可愛らしい。ざるに入っているのが今回の主役、小麦の丸麦だったんですね。


 で今回もお電話しましたらね、奥さまがおでになられました。開店の10分前頃でしたかね。
「萬造です。今日は営業されてます? お席、予約って取れるの?」
「ごめんなさい。今のところ、ご予約は受けないことにしているんです。一番に入っていただければ」
「今、まだ帯広なのよ。40分はかかるよね」
「そうですね。開店して、大体のお客様は1時間半はゆっくり過していかれますから。午後1時半を過ぎれば大丈夫かと」
「ま、とりあえずお伺いしてみますね」

 12時過ぎに到着しましたけれど、当然の如く満席。済まなそうにする奥さまに「時間潰ししてきますね」と言ってワタシが向かったのは、六花の森。500円も支払ってですね、一通り眺めさせていただきましたよ。色々思うことはございましたが、それはまた別の話。



週変わりのランチとパニーノ。メニューは基本的にこの2種類だけ。



銀食器はフォークのみ。メニューの表紙は手すきの紙でしょうね。



スィーツとドリンク。やっぱりねぇ、ワインはなかなか出ません、って。


 1時間近く時間を潰しまして、「お持ち帰りはご遠慮いただきます」の雪やこんことマル成バターサンドをしっかり握り締めながら、六花の森をあとにいたしました。

 実は午後3時半には帯広に着いていなければならない、という状況だったンですよ。ということは3時になるまえには植えるCAFEさまを出発しなくてはならない。一通りいただくのに1時間半かかるとすると午後1時半には店に入っていなくてはならないのですが、結局1時40分になってましたね。「まぁ、なんとかなるでしょ」


自家製野菜の販売もしています。しいものの、売れ行きがいいんですって。



サラダ&パニーノの「その日の野菜の盛り合わせ」。取れたて元気野菜たち。



「中札内赤鶏のスモークとその日の野菜のパニーノ」を剥いてみました。


 ↑の画像でご覧(クリックしてね)いただけます通り、「その日の野菜の盛り合わせ」はドカーンと大皿で提供されます。野菜のひとつひとつをまずは視覚で楽しんで欲しいという仕掛け

 ランチだけを選択された場合、その彩りを楽しむことが叶わなくなります。複数で植えるCAFEさまを訪問する機会があれば、是非、SALAD & PANINO & LUNCHで召し上がっていただきたい。舌も眼もお腹も躰も満足感で浸されること請け合いです。



パニーノは2個ありますから、少食の方は十分お腹も満足されるでしょう。スィーツを追加されれば、なおさらか。

 週変わりのランチはまさに十勝食材の見本の様相を呈していました。なにが出てくるか、というのが非常に楽しみなんですよね。

 これだけの食材を自分で集めてきて味わう、ということ考えるだけでその費用や時間というものがどれだけかかってしまうか、というので嫌になってしまうでしょう。だって、専門店であっても手に入らないものがほとんどですもの。



前菜。「とうもろこしと枝豆はあえて、そのまま」と吉川オーナー・シェフ。

 前菜からいきなり驚かされます。最近話題の蝦夷豚以前から放牧豚に取組んでいらっしゃる北海とかち農園の古川行孝オーナーから直接仕入れたであろう、アップル草原ポーク(どっちの料理ショーの特選素材ですよ)を吉川オーナー自身がサルシッチャ(ソーセージ)にされたものが、ひょいと皿にあるわけです。

 大樹・西川牧場の放牧牛乳で作った1年熟成のチーズ「あかつき」はとても素直。しっかりとした味わいでありながら、強烈に主張することはしない珍しいタイプ。「どこで手に入るの?」「直接行かなきゃ無理でしょうね」



本日の主菜。まずは清水・ボーンフリーファーム産牛ミンチ肉を使用した一品に眼を奪われてしまいます。ところがですね・・・。



この更別(ご近所の農家)産丸麦の味わいにはすっかり驚いてしまいました。ワタシ、丸麦というものを意識して食べたのが初めて、ということもあるのですけれど。甘いンですよ。まるで昔食べていたトウモロコシのような感じ。「これ、いいなぁ



ご存知の通り、ボーンフリーファーム産牛肉は現在、牛とろがブレイク中。なんせ生産量に限りがありますし、現在なかなか手に入りません。それをこちらで味わえるなんて。ちなみにワタシ、牛とろ以外でボーンフリーファームさまのお肉味わうの今回初めてなんです。でも、ミンチですからねぇ。

 十勝に住んでいても、知らないことって一杯あるなぁ、と。結局、吉川オーナーシェフは十勝産食材のエヴァンジェリスト(伝道者)にならざるを得ないんでしょうね。農業生産者の現状を考えると非常に危機的なものがあるんです。そして、その努力の仕方は決して一様ではない。

 このままでは努力されている方まで一緒に沈んでしまうかもしれない。それに対する危機感は、きっちりとしたお仕事をされるシェフやパティシエこそが強く感じていることでしてね。

 「再生産に耐えられる収益」を素材生産者にはあげてもらいたい。

 そういった考えを札幌宮の森のル・ミュゼの石井誠シェフさまですとか、山鼻のクチーナ・イタリアーナ マガーリの宮下輝樹シェフには強く感じることができました。

 そして当地十勝の、レストラン・エ・カフェ・オランジュの渡辺雄二シェフやモン・トレゾールの小川尚子パティシエールも同じ思いでいらっしゃる。

 いい素材が手に入らないことには、いい料理・スィーツを提供できない、というのは自明の理ですもの。F1の世界でも、いいドライバーがいいメーカー、マシーンを選ぶでしょ、それと同じ。

 ですから、それぞれのお店の価格は高くならざるを得ない。ただ、ひたすらに高品質で美味しいものを適正な価格でを目指しているに過ぎない。「ぼってるわけではありません」

 そういった事実を知っているだけに、植えるCAFEさまの価格には驚きです。ものすごく、お得なんですよ、実は。それをご理解していただける方には是非とも訪問していただきたいな、と。



忠類・高野牧場産の放牧牛乳ジェラート。砂糖を控えめにして、牛乳そのままの味わいをと。どうやら、高野牧場のミルクはホクレン通じて直接本州送りになっているというお話も。そういったルートがあるんですね。


 帰り際、吉川オーナーシェフが声を掛けてくださいました。「萬造さん、何か問題点はありませんか。指摘していただきたいんです。いい店にしたいんです」と。成長するためには批判、批評が不可欠なんですよ。それをよく理解されている。もちろん、いくつか疑問点がございましたんで、お話しさせていただきました。

 食べ終えたのが午後2時50分でした。それから、ハーブを目の前にして、しばらくお話しさせていただきましたので、植えるCAFEさまを後にしたのが、3時5分前。帯広の目的地到着にはキッチリ5分遅刻いたしました。ふふふ。

 「批判」を意味のないものにすることに、それこそどれだけの意味があるのでしょう。恐らく、成長というものを拒否されているか信じていないのかの、どちらかなのでしょうね。ある記事とそれに連なるコメントを眺めて不可思議でなりませんでした。「まだ、ワタシは語り続けなければならないのか」
  

Posted by きむらまどか at 22:13Comments(0)帯広近郊/洋食・パスタ

2014年03月22日

専守防衛だから、なんだってんだ!?/ムダな兵器・要らない装備

2008-09-15 00:45:33


週刊金曜日 2008/8/8 8/15合併号 714号

参考記事:
»今日のお昼ご飯/護衛艦じんつうに乗ってきたよ!

 メインは週刊金曜日の表紙。また、これ遣うことになるとはね(苦笑)





 法律解釈的にどうであろうが、日本の自衛隊軍 隊である、というのは世界的に当たり前の事実。そうではない、と抗弁するのは確信犯的な政治家と考える能力に欠如している、あるいは能力がないのを隠している一部自衛官くらいのものでしょう。国民の大多数は自衛隊は軍隊とみなしていますし、それに対して幻 想を持っているかも知れません。

 幻 想というのには理由があります。自衛隊は軍隊の形をした、張子の虎に過ぎない。法律によって、専守防衛にられているのではなく、専守防衛すらできないし、しない、という解釈すら成り立つ存在です。

(前略)つまり法律を遵守する限り(自衛隊は)戦争は出来ないことになる。換言すると自衛隊が戦争すると犯罪者になるのである。すなわち法的に自衛隊は戦争ができない。

 この点において自衛隊ほど平和な軍隊はないし、本質的に軍隊と異なる組織であると言えよう。西側の頭数を増やすことが自衛隊の役割であり、いざとなれば米軍が助けてくれる、というきわめて楽天的な我が国の安全保障観に基づいたものであった。(後略)

<防衛予算はなぜ国会を無審査で通過するか/清谷信一>

理念と戦略なき国防費の垂れ流し
自主開発路線は天下り先確保が狙いか

 これまで自衛隊の装備に関する議論といえば「高価な戦車を購入するくらいなら福祉に回せ」という議論のすり替えに終始してきた。旧社会党や共産党などの革新勢力は国防予算をはなから不必要なものと決め付けていたし、与党自民党の防衛族議員や防衛庁(省)は、予算確保にひたすら邁進するばかりで、立法機関である国会において実のある議論がほとんどなされてこなかった。

 すなわち、自衛隊の兵器が他国の採用している物に比べて価格や能力が適正であるか、日本の安全保障におけるグランドデザインから考えて本当に必要であるかという、納税者の立場から考えればごく当たり前の、具体的かつ客観的な検証作業が長らく放置され続けてきたのだ。こうした状況が昨年発覚した防衛商社・山田洋行による防衛族議員・防衛官僚との癒着、調達装備の水増し請求などの温床になったことは容易に想像できるだろう。

(後略)

 そういった事実を具体的に検証してみますとこうなるのですね。



<アニメ同様、役に立たないガンタンク>87式自走対空砲
 陸上自衛隊が装備する自走対空砲。ドイツ陸軍のゲバルト対空自走砲を参考に開発された。砲塔の左右に35ミリ機関砲を2門装備し、砲塔後部に索敵・追尾レーダーがそれぞれ搭載されている。航空機や攻撃ヘリの進化により、登場時点で既に旧式化していた。生産量数もわずか52両と少なく、陸自機甲部隊の防空戦闘能力は低いまま放置されている。


 まぁワタシが思うに、いざ国土防衛するのは自衛官さまだと思うのですよ、納税者の立場からすると。なんだかんだ言っても、装備よりも大切なのは人。装備を扱うのは人ですから。国民の負託に応えます、と一見まっとうなことをおっしゃっている方も少なくないようですし。そんな方はとりあえず勤務中に私用で携帯を操作するなんてことはされないでしょうしね。そう信じています。まさか、その意思表明を国民に対して偽 装なさるなんて、ありえないですよねぇ。ご立派な自衛官(特別国家公務員)さまがいらっしゃるうちは心配ない、と無辜なる国民は信じるしかないようです。

  

Posted by きむらまどか at 07:50Comments(0)街の様子/ワタシの様子

2014年03月17日

母娘と父子と女と男/スカイ・クロラに観る感情のゆれ

2008-09-08 07:30:14

 この記事は仮想現実とはなにか/スカイ・クロラのテクニカルな側面の続編でございます。

押井守監督作品 スカイ・クロラThe Sky Crawlers

参考サイト:
»スカイ・クロラ The Sky Crawlers プロモーション映像 /@nifty動画
»スカイ・クロラ The Sky Crawlers/eiga.com
»押井節”全開で各国プレスにポリシー説く/『スカイ・クロラ』ヴェネチア記者会見は重厚な質問続出
»スカイクロラ観賞翌日の興奮fromまんぞうのへりくつ

 当初、ひとつの記事にするつもりでしたが、追加カキコを続けているうちに1記事の文字数制限(引用枠800字、本文6,400字)に引っ掛かってしまいまして。あわせてお読みくださいな。なもんですから、本記事は短くなっております。

 メインは薬莢の散らばり具合が情け容なくてたまりません画像。




 前記事で押井守監督の記者会見を引用いたしましたけれど、その冒頭で述べられています通り、スカイ・クロラは「恋愛映画であり、情緒的な映画」です。結局、映像のテクニカルな手法や思春期で身体的な成長が止まってしまい老いることがない「キルドレ」といった存在、「ショーとしての戦争」というシチュエーションの全ては、「恋愛や情緒」を な形で際立たせるために設定されている。



司令官としてのデスク・ワークモードの水素(スイト)さま。現役のパイロットでもいらっしゃるわけですから、近視というのは結構問題あるんじゃないかと思うのですけど。そうか、眼が良すぎて遠視なんですね、きっと。ねー、なんか図書館戦争柴崎麻子さまっぽくありません?



ユーイチ君がね、「煙草を吸わない上司は信用しないことにしているんです」って。やたら煙草を吸うキルドレを評して「お話とはいえ、問題あるんじゃないか」っていう頓漢な方もいらっしゃいましたね。現実と混同されてる(笑)



ユーイチ君のベッドに顔を埋めてしまう水素さま。このシーンの解釈なんですけど、ワタシ映画鑑賞中はユーイチの前任者栗田朗(クリタ・ジンロウ)を偲んでの行為だと思っていました。「忘れられないのね」と。でも、もしかするとうのかしらぁ


今回妙に自分の中で、非常にエモーショナルな動きが芽生えたというか、恐らく今流行っているような思い切り泣ける映画になるかは別として、非常切実なドラマになるのではないかと思っています。だから今まで僕が作ってきたものを期待されるとちょっと違うかもしれないし、そんな人は少ないからそれでいいのだけれど(笑)。僕にしては珍しく、わりと本気でドラマに取り組もうというのが最大の動機だったんです。
子供の愛だからこそ、僕はドラマになると思っている。若い人たちにとって人生で一番語りやすいというか、一番興味を持てるであろう恋に絞って、真正面からやってみようと思います。
柄にもなく、今回はラブシーンとか濡れ場に挑戦しました。現場の連中が驚いていました。どうしちゃったんだって。最近どうしちゃったんだって良く言われますが、それを必要だと判断したからなんです。僕自身、もう一回色っぽく人生を生きてみよう、のある人生を生きてみようと最近思いなおしたんです。

『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』押井守監督記者会見

 「人間はの動物である」という表現は遣い古されたものでございますけれど、表現というものを突き詰めていくとやっぱりそこに行き着いてしまうものなのでしょうか。

 繰り返しになりますけれど、ワタシは押井守監督や過去の作品、そしてスカイ・クロラについてほとんど知識がありませんでした。偶然といってもいいような状況で、この映画に触れることになったわけです。そして、単純に「この映画好きだわ」。好きになることに理屈はありませんよね。そりゃ、理由ですとか言い訳みたいなものは見つけだすことは可能ですけれど、「理屈で好きになるわけではない。好きだから好き」。

 ただ、その「好き」っていう感情を他者に伝えるために、色々なテクニックが必要になってくる。人間はとにかく伝わらない、もどかしい生き物ですんでね。「言わなくても気持ちは伝わるよ」なんていうのは単なる偶然であり、共同幻想(思い込み)に過ぎない。

 だから、戦争も起こるんです。

 話題が拡散してしまいました。この記事、あえてヘッドラインに載せなかったんですけど、おかげさまでマイとかちユーザーには非常に注目度が低くて。低すぎてちょっと驚いているんですが。

 他者に見てもらえないかもしれない、という状況にあえて追い込んでもしっかりした記事をカキコできるかどうか、というのがワタシが自分に与えた課題でした。それが、スカイ・クロラという映画に感動したことを証明できる方法のひとつだと考えたからです。「本当にスカイ・クロラが好きなのか?」



人間と機械の境界線が、限りなく曖 昧になった時代。ヒトは、人であることを忘れた。彼(バトー)は生きた人形である。それでも、自分が人間でありたいと求めた男の孤独な魂(ゴースト)の乱交。イノセンス それは、いのち。イノセンスのプロモ・ヴィデオより。

バトーは生きた人形(サイボーグ)でね、その身体の全てが造り物。「残されているのはわずかな脳と、ひとりの女性の記だけ。」なのよ。ウワー、せつねぇ。

 それでスカイ・クロラに対するを証明せんがために、色々調べるわけですよ。好きなもの(ひと)のことは詳しく知っておきたい、というのはまさに自然な感情ですし。そうしますとね、押井守監督作品自体が「自分探しの過程」という分析もあるようなんですが、ワタシの「証明作業」もまさに「自分探し」になってしまいましたね、結果的に。

 そんなさなかの8/28、これも偶然にOCTVの日本映画専用チャンネルをつけましたら、アニメーションをやっているわけですよ。大友克洋さま原作の映画、「AKIRA」っぽい画像でしてね。「これって、もしかして」

 ビンゴ!、でございました。確信持てたのは最後の最後だったのですけれど「イノセンス[劇場オリジナル版]」でございました。印象深い台詞が随所に散りばめてございまして。で、ワタシが一番れてしまったのが、

「バトー忘れないで。あなたがネットにアクセスするとき、私は必ずあなたのにいる」

 という草薙子さまのセリフでございました。この言葉を最後に素子さまの魂というか意思というか存在そのものは、再びバトーの横からは消えたわけですけど。でも、バトーの記には残る。

ネットは広だわ」と少女の義体になった子さまはつぶやきます。それと深夜の高層ビル群最上階から、裸体で真っ逆さまに落下していくシーンはあまりにも有名。「GOHST IN THE SHELL/攻機動隊」

 「攻殻機動隊」と「イノセンス」で「人とはなんだ」という問題を押井守監督は描いたと思うのですよ。そして、草薙子さまとバトーさまの間に存在している「そこはかとない(せつない)想い」が「スカイ・クロラ」では「恋愛」として明確なカタチで草薙水さまとユーイチくんの間で展開されていく。

 そして、ユーイチくんは自分という存在を確固したものにするためにはティーチャーを越えなければならないわけです。だって、ティーチャーに勝たない限り、水さまを独占することはできないのですもの。そういった意味では、水さまはユーイチくんの女であり母なのかもしれません。そこの問題が「スカイ・クロラ」では提起されている。「人の生きる意味は?」



この表情、この差し。し合ったあとのそのものですよね。これは記(対朗)によるものなのか、今後への期(対優一)なのか。だんだん後者なんじゃないかって気がしてまいりました。大人のですよね。



ユーイチ君とのお食事中におぐしをオールバックにして再登場された水素さま。機戦士ガンダムのマチルダ・アジャン中尉を思い起こしたのはワタシだけだったのでしょうか!? 「としての私を意識して欲しい」っていう意思表示ですよね、これ。



全編通してクールな態度、表情だった水素さまがユーイチ君に抱きしめられて唯一崩れてしまったシーン。涙ぐんでるのワカりますぅ?「自分や他人の運命に干することを覚えた」辛さやしさからの涙でしょうね。

 「カッコイイとは、こういうことさ」と糸井重里さまは「の豚」にキャッチ・コピーをつけました。ワタシは「スカイ・クロラ」に「生きる意味、ってコンナものかも」とでもつけましょうか。



大編隊で夜間飛行中にですね、ユーイチ君搭乗の散香を見つめる水素さま。「ええっ、いいの? お仕事中なのにこんな眼ぇして」ってツッコみたくなるような眼差しです。ワタシ、この時の表情が一番好き。相手をしく想う気持ちが素 直に表れていますもの。

 さて、生きていくうえで実は避けることの出来ない「親子の相」について、やっとたどりつくことができそうですが。

 さて、スカイ・クロラで不満な点といいましょうか、残念であったのは、草薙季さまの存在が中途半端というか、謎めいたというか、そんな状態で放って置かれてしまったのでは、ということでしてね。

 ユーイチ君に心寄せる女性として、ワタシがしてやまない栗山さまが演じた三ツ矢碧(ミドリ)さまと「胸にのタトゥーあり」のコール・ガール、フーコさまの存在があげられます。確かに、この二人の扱われ方っていうのも問題あるなぁ、って気はします。特にフーコさまにはもうちょっと見せ場を作ってあげたかったな、と。でも、まぁ、この二人については割りとどうでもよろしい。

 神話の時代から、親父というのはたてつく息子や娘をみんなすものであって、いつでもかかってこいっていうのがティーチャーなんですよ。だから子供は、自分の世界を造るために親父をさなければならないんです。母親は子供たちを守っているんだけど、戦いには参加できない。帰ってくるのをひたすら待っているわけです。

別冊宝島1546「押井守ワークス+スカイ・クロラ」interview01[監督]押井守『世界観は絶対変えてはならない』より

 確かに「スカイ・クロラ」のメインは「父親対息子」の対立軸ではあるんです、それは当然。でも、映画により深みを与えるであろう「母対娘」の軸ももっと見たかったな、と。



「さ、いくわよ」とばかりに後ろ手を差し出す水さまとそれに従う実娘である季さま。手のウゴキに情 感が表現されています。それにしても、この二人が母娘!? 父親はもしかしてティーチャー!?

 水さまがユーイチ君にぽろっと洩らすんですよ。「あの子がだんだんワタシの年齢に近づいてくるのよ」っていうようなことをですね。水さまはキルドレですから、17歳くらいで肉体的な成長が止まってしまっている。でも、季さまはキルドレなのかそうでないのか、ワカらない。もし、キルドレでなければ、娘は母を越えてしまう。あくまで肉体的なことではありますけれど。

 このことに対する途惑いが水さまにはあるわけです。一種の恐怖感とでもいうのかな。

 でも、季さまはそんなこと、全くお構いなしの天真振り。ま、まだ、本当のおこちゃまですから、無理ないんですが。ここんところの「間の相克、葛藤」をですね、もう少し感じとりたかったな、と。この部分というのは、女性じゃないと難しいのかしらね。原作も映画監督も男性ですしね。脚本は女性なんですけど、あくまで作品は監督のものですからね。



「これでもかっ」っていうほどロストック社散香をボコボコにする、ティーチャー搭乗のラウテルン社スカイリィ。大 型なのはファルスを象徴しているんですって。ファルス、ってなに? ウィキってみましょうか。



あのう、動画でご覧になれますんで是非確認していただきたいんですが、「ティーチャーを撃墜する」とは言ってないんですよ。なんて言っているか、実はこれがスカイ・クロラ大きなテーマなんでしょうね。

 再度文字数制限にひっかかってしまいました。追加カキコの気力は残っていません。これにて、終了です。長々のお付き合い、ありがとうございました。


  

Posted by きむらまどか at 05:25Comments(0)街の様子/ワタシの様子

2014年03月15日

仮想現実とはなにか/スカイ・クロラのテクニカルな側面

2008-09-05 08:55:11





 宮崎駿監督作品「紅の豚」との比較もね。戦闘機つながりですし。



別冊宝島1546「押井守ワークス+スカイ・クロラ The Sky Crawlers」 映画パンフレットの代わりに紀伊国屋札幌本店でやっとの思いで見つけ出したのがこの1冊。

押井守監督作品 スカイ・クロラThe Sky Crawlers

参考サイト:
»スカイ・クロラ The Sky Crawlers プロモーション映像 /@nifty動画
»スカイ・クロラ The Sky Crawlers/eiga.com
»押井節”全開で各国プレスにポリシー説く/『スカイ・クロラ』ヴェネチア記者会見は重厚な質問続出
»スカイクロラ観賞翌日の興奮fromまんぞうのへりくつ

 「子とかけて水ととく。そのココロは? どちらも草薙でしょう」

 メインは暫定的に草薙水素さまのノーマルパターン。




 いうまでもないことですけれど、攻殻機動隊の草薙「中佐」素子(もとこ)さまとスカイ・クロラの草薙「司令官」水素(スイト)さまは全く関係ございません。原作者が違うのですから。

 馬鹿な謎掛けで始めてしまいましたけれど、当初「スカイ・クロラ」に関してはそれほど興味を持っていませんでした。「まりも号のラスト・ウィークに立ち会うための時間潰し」に映画でも観ましょうか、というのがきっかけですから。

 ところがですねぇ、観終えた直後からというか最中から、ワタシ、すっかりハマってしまいましてね、この作品に。アニメと押井守監督については、ほとんど素人同然なんですけれど、さてどこまで語れるか。

明日死ぬかもしれない人間が 大人になる必要ってあるんでしょうか」(by 函南優一

 プロモーションヴィディオをご覧になってしまうと、「ショーとしての戦争」というシチュエーションに引っ掛かってしまうかもしれません。でも、これは単なる設定だとワタシ思いました。当たり前かもしれませんけれど、キャラクターを浮き出させるための手段に過ぎない。スカイ・クロラは戦争反対とかいうテーマとは無関係でしょうね。もう既にそんなことは当然のことになってしまってるんですよ。「戦争は虚しいよ。だけどれることはできないよ、人間である限り。そこに生きていることの哀しさがある」って、押井守監督は表現してるんじゃないかなぁ。そして、それはスカイ・クロラの主題じゃない。



ユーイチが眺めるロストック社・兎離洲(ウリス)基地。このシーンでワタシが思い浮かべたのは、なんといっても名作ゲームXevious(ゼビウス)(←クリックするとプレイできます)でございましてね。こいつをアーケードで初めてプレイしたときの驚きといったらなかったんですから。1983年のことでございます。あの時の感動がまざまざと蘇ったココロもちに。




これもXeviousを思い起こさせたシーン。ロストック社の主力戦闘機散香が着陸直前、横回転(ロール)するのですがこのお腹の見せ方がタルケンやテラジ(敵の戦闘機の名前ね)が反転して画面から消えていく様子に似ているンですよ。ちなみに画面下方で走っている少女は草薙季(ミズキ)さま。押井作品につきものの犬はバセット・ハウンド。名前は特になくて、飼い主である「笹倉(永久:トワ)の犬」としか。

 最初のほうはですね、とにかく戦闘シーンでの迫力や背景の質感圧 倒されてしまいました。現代のアニメーションやゲームなんかのコンピュータ・グラフィックスの水準でいけば、当然のレベルなのかも知れませんが、なんせワタシ、観ないし、やらないし。20世紀少年で時が止まっておりましてね、味噌が。そのせいか、驚いてしまったのですよ。

 一方、違和感もあったんですよね、画像に。物質はスッゴイリアルな質感で迫ってくるのですけれど、登場人物がアニメアニメしておりましてね。「なんだろう、これ。動くものは質感だすのが難しいのか」、なんて。ところがね、これ意図的なんですって。

 引用枠でご紹介した、別冊宝島1546に「押井守クロニクル」というページがございまして、テレビや映画等各作品を解説しているんですよ。ワタシ、ほとんど意識して観たことないので、どこ読んでも「ヘー、ホー、ハー」状態。

 それでも、スカイ・クロラがヴェネチア映画祭の招待作品からコンペティション参加作品に繰り上がった経緯には、「GOHST IN THE SHELL /攻殻機動隊」と続編「イノセンス」に対する国際的な評価が深く関わっている、ということぐらいはワカるわけです。

 それで、「イノセンス」の項目を読んでおりましたらね、「押井語録」というのがございまして。「3D背景の違和感を逆手にとった」という記述がございました。

 この映画では、背景のかなりの部分が3DCGで処理されているが、あえて2D手描きキャラクターとの違和感を出し、「仮想現実の世界」を作った。


 この「イノセンス」で遣われた手法は、そのまま「スカイ・クロラ」でも生かされたということなのでしょう。ワタシはまんまとそれにハマってしまったというわけです。



函南優一(カンナミ ユーイチ)と彼が得意としている戦闘機散香。ちなみにこれは戦闘機のお尻なんです。一般的なプロペラ機はトラクター式といって、機の前方にプロペラがついてますけど、ロストック社(日系企業)はプッシャー式がメイン。冷却という意味で技術的に難しくて、現実社会ではなかなかものになりませんでしたけれど、ジェット機が皆プッシャー式なのはご存知の通り。機能的にはプッシャーが優れているんですって。


このシーンは、スター・ウォーズにおけるところの反乱同盟軍のXウィング・スター・ファイターの編隊がまさにスター・デストロイヤーを破壊せんと飛行している感じ。これがアニメーションで観られるなんて!? 戦闘機の質感といい、雲の様子といい、見事な表現力。



ロストック社軍とラウンテルン社軍との大規模戦闘での爆発シーン。これ、あくまでもお話しですんで楽しめるんですけどね。正直、美しいですよね。巨大な三角形はロストック社の全翼型重爆撃機。飛行雲が画面に彩りを添えています。

 物質のリアルな質感もさることながら、戦闘シーンのスケール感がまた素晴らしくてですね、散香が急降下する視点なんかでは恐怖を覚えるほどでしたから。ジェットコースターのような爽快感といってもいい。

 戦闘機のアニメーション、しかもプロペラ機(レシプロエンジン機ともいえるのか)といえば、宮崎駿監督作品「紅の豚」でございましょうね。ワタシもこの作品大好きで、レーザーディスクからダビングした(これで15年近く昔だということがバレる)VIDEOを時折取り出しては楽しんでおりますよ。


 それで、スカイ・クロラでの戦闘機のシーンについて押井守監督は以下のように述べております。
 戦闘機という重要なアイテムが出てくるのですが、これに関しては今可能なCGの技術をすべて取り入れています。恋愛映画であり、情緒的な映画ではありますが、戦闘機は戦闘機で結構気合を入れて作っています。今まで誰も見たことがないような空中戦にしようと思っています。実際にそういう意気込みで作っていますので、すごいことになっていると思います(笑)。原作を読んだ方はご存知かもしれませんが、レシプロ(プロペラ)戦闘機の世界なので、一番描き甲斐があるんです。昨今の映画でレシプロ戦闘機をメインにした作品はそんなに記憶にないですね。レシプロ飛行機が持っている独特の魅力は、人間の身体の延長感とか、筋力で飛行機を操っているような醍醐味だと思います。それと、如何に空で戦うことが過酷な世界であるかということを表現しました。何時死ぬか分からない戦争という中で、死の可能性を背負って生きているという主人公たちの在りようを表現するためにも戦闘機による空中戦の世界は、力いっぱいやっています。僕は飛行機ものをやるのが夢でしたし、この作品をやるにあたっての動機にもなっています。恐らく今まで誰もやったことがない空中戦が見られるだろうと思っています。空中戦に関しては、宮さん(宮崎駿監督)よりも自信があります。あの人は自分が一番上手いはずだと主張しているけれど(笑)。

<『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』押井守監督記者会見/公式HPより>

 当然ながら、このアニメーションの世界では宮崎駿監督が大先輩に当たるわけですよ。そして、押井守監督は目をかけられているわけです。名作「ルパン三世 カリオストロの城」の次の劇場用作品を振られたくらいですから。

 でも、だからというべきなのか(笑)、二人はライバル関係にありますし、確執があるとみられているのですね。それについては、コチラ押井守監督と宮崎駿の愛憎と確執/[の] のまのしわざに詳しく述べられております。これ、スッゴイ、面白い。特に押井守監督がワタシの愛する「風の谷のナウシカ」をぶった切ってるナウシカに隠された宮崎駿の陰謀なんかの押井監督評を読みますと「なるほど」って思えちゃいます。「ワタシって、なんだかんだ言っても浪花節的日本人なのよ」

 でも、ワタシ、アニメアニメした紅の豚もやっぱり好きなのね。



 引用枠含めて、文字数制限遣いきってしまいましてね。残りをまんへりで、というのはあんまりなので、記事を分割することにいたしました。続きは「母娘と父子と女と男/スカイ・クロラに観る感情のゆれ」にて。完成はまた伸びますね。まさに「どこまで続くぬかるみぞ」。  

Posted by きむらまどか at 09:38Comments(0)街の様子/ワタシの様子

2014年03月02日

哀愁のまりもエクスプレス/眠い眼こすりラスト・ウィークに参加

2008年9月1日(月) 00:00 ▼コメント(13)



札幌駅西改札口の時刻電光掲示板

夜行特急列車まりも号
札幌駅23:08発  函館本線-千歳線-石勝線-根室本線 帯広駅3:23着

参考記事:
【ラストラン】まりも最終列車乗車記【グランドフィナーレ】
↑、しっかりとしたマニアによるレポート。まりも終着アナウンスも聴けます。涙ものですよ。
2008.8.31ラストラン 夜行特急「まりも号」/JR北海道
2008/8/28(木)掲載 静かな闇夜 ゆったりと鉄路走り40年 特急「まりも」 31日で廃止:かちまいNEWS SCRAP
特急まりも廃止/とかち、かってに交通情報。
まりもに乗りたくて
女性席なんてあったんだー/まりも、再び

 メインは夜行特急列車まりも号記念乗車証明書の表面画像。




 いやぁ、ついにこの日が来てしまったのですね。今頃は追分の手前あたりをとことこ走っているはず。


これも札幌駅西口で撮影。ただ、英語表記というのを撮っておきたかっただけなの。


5・6番のりばの電光掲示板。英語表記バージョン。やっぱり、ただそれだけ。


もぉう、しつこいですよねぇ。でも、やっぱり載せちゃうのよ。これ性分なんですね。


 去年の10月に金・土・日のみ運行の臨時列車に格下げされて以来、この日が近いことは予感しておりましたけれど、やはりその時になってしまいますと寂寞の想いから逃れることはできません。

 4月でしたかね、「8月31日をもって運転を終了いたします」とのプレスリリースが出されまして。「もう一回くらい乗車することできるかしらね」と微かな希望を抱いておりましたけれど、なかなか金曜日のお仕事が入らない。ワタシ、決してマニアではございませんので、自費まりもに乗ろうとはならないわけですよ。

 そうこうしているしているうちに運命の8月になってしまいました。そうしたら、あなた。急遽8月25日に日帰り出張が入りました。本来であれば翌日もお仕事ですから、当日中に帰帯するのが常道。だって、帯広到着が朝の3時半ですもの。こっから帰宅して、5時間後にはまた家を出る、っていうのは40歳も半ばの身には通常辛い。


一種のお祭りみたいなものですから、整理のアルバイトさまが増員されてました。記念乗車証明書配布要員かな、と。


これ、なんていうんでしょ。オークションに出品された場合、いくらの値がつくのか。もう駅でお目にかかれることがないんですね。

 でもどうせワタシ、睡眠不足はいっつものことですから、なんの躊躇もためらいもなくまりもに乗ることに決めました。

 馴染みの旅行代理店にお電話して、チケットの手配をお願いしましたら担当者さまは図らずもおっしゃいましたね。「端野さん。ラスト・まりもですね」と。思わずワタシは目頭にハンケチを当ててしまいました。

 ワタシとまりもの蜜月はここ数年のことでございますけれど、物心ついた頃に利用した記憶もございます。ウィキペディア で確認しますと「狩勝」か「からまつ」かどちらかなんだろうな、ということで厳密にはまりもではないのですが。

 夜中にですね、母に連れられて帯広駅から出発。3段ベッドの寝台車に乗ってですね、札幌まで行ったのですよ。もう、家からタクシーに乗る時点で、日常空間。印象深くないわけがない。

 同じベッドで母とは枕を反対にして、眠りについたのを記憶しております。札幌近辺に到着する頃には目覚めていまして、車窓を流れる景色をワクワクしながら眺めたものでございます。



スーパーじゃないとかちと同じお顔。このお顔の車輌もどんどん減っていってるようです。あんまりハンサムとはいえないので、好きではなかったのですが。でも見慣れた顔が見えなくなるのはしい。


 社会人になってからのまりも体験は創作として残っておりました。19年前の作品で「千歳経由東京行しかも日帰り」という題名。従兄弟の結婚式に参加したのをモチーフにして書いたものです。日帰りといい、創作といい、全然ワタシには進歩というものがない(苦笑)

 朝一番のおおぞらに、僕は急いで乗り込んだ。6時には起きたのだから、十分余裕だねって、思っていたのに。(中略)

 千歳空港で羽田行の日航機を待ちながら、僕は早くも疲れを感じていた。どうして帯広空港発着にしなかったのか、変に思われるかもしれない。でも帯広発着だと日帰りの場合、東京にほとんど居られないんですね。千歳発着に比べて、倍近く違う。(中略)

 羽田からモノレールに乗る。これも初めての体験だ。9月とはいえ、やはり東京は暑い。しかも曇り空ときている。浜松町まで立ちっぱなしで街並みを眺めた。雨にぬれたせいか、さっぱりとした印象だ。台風が近づいてきているというのに。(中略)

 帰りの飛行機も当然日航機。台風はなんとか、僕が出発するのを待っていてくらた。ところが千歳空港が霧なのだという。離陸してから機長は何度も「引き返す恐れがあります」などと脅す始末だ。(中略)

 きっとそれは、菜都美と僕との間の「ズレ」が原因なんだ。人はそれぞれ、生まれた時代や環境によって、モノの見方や考え方に差が生じるのだと思う。生まれつきの個性だって、当然無視することは出来ないのだけれど。

 先輩の茂木さんが、ポツンと言ったのが印象に残っている。
「結婚は『感動の共有』だよ」

 結婚してしまったカップルが皆『感動を共有』しているのかどうか、僕は知らない。そんなことに気付かない二人も多いのだろう。そんなことは考えないほうがよいのかもしれない。

 でも僕は気がついてしまった。菜都美の「見える」ものと、僕が「見たい」ものがあまりにも違うということに。僕が外に出たくとも、彼女と居る限りどうにもならない。ウマク言えないけれど、そんな感じ。だから彼女とは結婚したくないんだ。

 痛む腰をさすりながら、僕は急行まりもから、帯広駅のホームに降りた。改札口に向かいながら、一眠りした後のシャワーのことと、朝食のことを考えた。菜都美の形のよい唇を懐かしく想った。空は白んでもいない。


 当時帯広空港は「TDA 東亜国内航空」だったか「日本エアシステム」だったかが単独就航でして、日本航空の参入でダブルトラッキングになったのもつかのま、両社が合併して元の木阿弥になってしまったのですけれど。それでワタシ、日航機に乗るの初めてだったんですね。

 そして、まりもは急行であった時代もあった、と。


○ホ スハネフ14 505 と車体に表示されておりました。寝台車輌ですね。ご覧になってワカります通り、古いって感じですよね。国鉄時代から使われ続けているんじゃないかなぁ。

 ええっと、まりもとの最後の日はラスト・ウィークに入ってまして、記念乗車証明書がいただけるのワカっておりました。札幌駅と釧路駅、始発で乗車した人間にだけ与えられる特 権(苦笑)です。乗車する時にいただきましたけれど、しょぼいんですよ。

 ところがね、まぁご儀なんでしょうけれど、結構いい値段(5千円)つけているんですよ、驚きました。今調べてみました ら、なんと釧路駅のはバージョンが違うんですね。しかも、カッコイイ! こっちが欲しかったな、ワタシ。だけど、ついた価格が11,500円ですって!?


これが異空間への扉(笑)でございますよ。


 枚数制限があるので、画像としては残念ながらアップできないのですが、惜別の念を持つ同好の士を多数見ることができましたね。圧倒的に男 子ばかりで 子さまをお見かけすることは適いませんでした。

 かつてのワタシでしたら、日本酒か焼酎のワン・カップを購入するところですけれど、今回はなんとエージェントさまお勧めのスターバックスさまでキャラメル・フラペチーノを購入いたしまして、ズズズとすすっておりましたよ。

 ただ、スカイ・クロラの後に、もろはくさまと参醸倶楽部さまに寄りまして、美味しいところを何杯もいただいておりましたので。少しは翌日のことを考えていた、といことです。「いやぁ、ワタシも大 人になったのかしらぁ」

 で、どうせ皆寝ていく列車なんですから、最初からリクライニングするべきだったのですけれど、隣のお兄ちゃんがシート倒さないでぐぅぐぅ寝るんだ。で、倒すタイミングを逃してしまいまして、結局シートはそのままですから、寝にくいったら、ありゃしない。

 指定席でも空席はあったのですよ。ですから、通常でしたら平気で移動して、ゆったりとした空間を確保するのですけれど、なんせ、眠いし暗いし、身体は動かないしで不自由な状態のまま、ずうっと帯広まで。

 やったら、待ち合わせやら時間調整で止まりますしね。一番驚いたのは、帯広貨物駅でもしばらく止まってましたからね。帯広貨物駅、っていう看板を画像に収めたかったんですけれど、暗すぎて携帯カメラのクオリティでは無理でございました。


2段ベッドの上段。このきちんとたたまれた毛布が旅情を感じさせます。天井が近いですよねぇ。


2段ベッドの下段。衣文掛けがいい感じ。それにしても、狭いよねぇ。寝返りも難しそう。



 定刻に帯広駅に到着しまして、定刻に出発していきました。最後までホームで見送ったのはワタシだけ。意外でしたね。もしかして、ワタシってば結構マニアなのかしら!?



どうやら、キハ183形100番台という車輌名(通称:青ボウズ)らしいのですけど、間違ってたら、どなたかご指導くださいまし。上り列車(まりも)ですとこちらが先頭車両になるのでしょうか。


20年くらい前に乗った車輌とは座席がうと思うのですよ。これは単に狭くて窮屈な「スーパーじゃないとかち」と同じシートですもの。


お隣様はどうやられていらっしゃる方々のようで、見事な対応。一部ではこんなことができてしまうくらいの乗車率でございました。

 自動改札は通りませんでした。チケットを記念にもらっておきたかったからです。小学生時代のワタシも改札口の担当者にお願いしたことがありましたね。全く、進歩していない。


帯広駅3番ホームの電光掲示板でございますよ。この列車が出たあと、帯広駅はしばらくの間ロックアウトされるわけですね。(←尊師対策!?)残念ながら、乗車口表示の看板はありませんでした、撤去済みだったのか、最初からないのか。


 昔はただ、「はいよ」と手渡してくださったものですけれど、今は「無 効」っていうスタンプを押してくださるのですね。ね、画像のチケットにちゃんと押されてますでしょ。

 で、午前3時半過ぎの帯広駅前の気温は15度くらいでしたでしょうか。物静かな空間では耳の底でまりもの最後の汽笛正確にはタイフォンっていうようで。確かに汽車じゃないですし)が聞こえたようながしたのでした。

 その後ワタシは、帯広駅東自転車置き場で愛車をピックアップしてですね、ギーコギーコと自宅に向かったのでございました。あーあ、おわっちったよ。「さらば、まりも号。おまえのことを忘れやしない」




夜行特急列車まりも号記念乗車証明書の面でございますよ。なんとまぁ、チャッちくてですね。ナンバリングかなんかされてりゃあ、プレミア度も高まるってものでしたけれど。


コメント(13件)


09-01 00:23
トーちゃん
学生時代、秋の全道大会の帰りは「まりも」でした。

3年の秋に優勝カップ(個人ですけど)を持ち帰れたのは一番の思い出です。

疲れた身体を固めのシートに押し込んで、ドンパや、先輩・後輩と延々話をしました。 「静かに!」と一般のお客さんにこっそり叱られた事もあったな。






09-01 00:29
たぷたぷ
こんばんわ~夜分におじゃま致します

夜行特急「まりも」
いつも コンサート帰りに お世話になりました
ありがとでした~ ┏●゛ペコリ
(萬造様を通じて まりも様に伝わりますように)






09-01 01:16
くろくろ @docomo.ne.jp
記事にしようか迷い中ですが、僕も数日前、池田~帯広間で乗りました。
(勿論乗車証明書はいただけませんでしたが。。。)
たまにですが、池田で飲むことがありその帰りの足として重宝してました。
池田発1時半、すでに減灯されてる車内に乗り込み、寝過ごさないようにと思いつつ、酔っ払ってますから“はっ”として帯広駅到着前に起きるといったヒヤヒヤがあったり、新千歳早朝便に乗るために帯広の発車時刻までマチで飲んでから乗車したりと、いろいろお世話になりました。

今頃豊頃を通過してる頃でしょうか。
上り札幌行きは。

記事、楽しみにしています。




09-01 01:29
端野 萬造
>トーちゃんさま
 その光景が目に浮かぶようでございますね。当時の座席は今のものよりスペース的にゆったりしていた印象があるのですよ。もう、リクライニングするのが前提のような。違ったかなぁ。

 あ、ご挨拶遅れて申し訳御座いません。「個人戦優勝、おめでとうございます」

 若き日の思い出とともに「まりも」はあるんですね。そして、その歴史は閉じられてしまう、と。

>たぷたぷさま
 そうなんですよね、コンサート帰りに利用される方って多かったンですってね。SMAPさまの時とかは普段と全然客層が変わっているという(笑)

 昼間に同じスケジュールで走ったとしたら、遅くて倒れそうになると思うのですよ。「オマエは本当に特別急行なのか!?」

 でもねぇ、夜行だから許されるンですよね。トコトコしてても。味のある旅行の選択肢がまたひとつ消えてしまいました。




09-01 01:42
端野 萬造
>くろくろさま
 そうですか、ワタシ言うところの「逆」まりもをご利用になられていたんですね。確かに浦幌・池田で呑んでの帰途には重宝な列車でした。

 乗車証明、ケチケチしないで全員に配れば良かったのにね。でもまぁ、貰えなくても後悔するような代物ではございませんことが記事でご理解いただけたんじゃないかと。

 あんまりカキコすると本記事のネタがなくなりますんでこのへんにしときましょう(笑)

 もう少しで上りの「逆」まりもが帯広駅に到着です。今日は乗られる方どれくらいいらっしゃるのかしら。マニアの方は釧路の始発から乗って、帯広で降りるというパターンがありかもですね。




09-01 09:35
エルモエルモ
★"端野 萬造さん
嬉しう画像です。
ああ~なつかしい。
お金なかったから、寝台には乗れなかったけど、青春の思い出。寝ている間に移動できるなんて、本当に効率よかったんですがね。残念です。
釧路に朝着いて、花咲きや釧網線に乗り継ぐ人もいたな~。




09-01 22:22
くゆり
私はむか~し旅行会社に勤めていて、「まりも」の切符を売っていた事もあり、懐かしさと寂しさがこみ上げてきますね~
帯広を出発する時は日付が変わるので、何回もお客様に到着する日を確認しました。

朝1番の飛行機に乗るためにマリモの指定席に座ったら、見ず知らずの隣の男性に「僕の肩によしかかっていいよ」と言われ(きもい!)、ず~っと反対側を向いてました。今となっては思い出ですね(笑)




09-01 22:55
端野 萬造
>エルモエルモさま
 まりも号はワタシのような素人にも印象深い列車です。だからこそ、このようにコメントが寄せられるのだなぁ、と今更ながら感心しておりますよ。

 ところがさ、この手の記事ってマニアの方がアゲられるケースがほとんどじゃないですか。なんかツッコミ辛いですよね。「KYって、思われちゃうのかしら」

 その点「モロ素人筋」の端萬記でございますれば、なんだか安心して心情を吐露できる、と。「アタシにも、言わせてくれなくっちゃ、だわ」

 ワタシの意図通りの結果です。うれしいなぁ。

 深夜列車って、なにかしら旅人を内省的にしてしまうのかもしれません。それゆえ、印象深くなる。しかも青春時代の記憶と重なるとなれば。

 明朝、本文追加しますけれど思い出探しをしていただけるようなら、幸いです。




09-01 23:15
端野 萬造
>くゆりさま
 ははは。ご本人はお忘れになっているかもしれませんが、ワタシはよぉぉく憶えておりますよ、以前のコメントを。http://www.mytokachi.jp/kabamaru_7/entry/35#comment11

 「肩によしかかっていいよ」エピソードには爆笑させていただきました。その手、もう遣うことができないんですね。残念だなぁ。ワタシ、そういうの得意なんです。まず相手を一度退かせて、そこから、「あら、そんなに悪い人じゃないんじゃない」から「あら、結構オモシロいんじゃない」そして「もうちょっと、一緒にいてみたいかも」まで、もっていく。ほほほ。

 今回のチケットはいつもの旅行代理店にお願いしました。そこのエピソードは本文にカキコさせてくださいましな。飛行機とまりものエピソードもカキコすることになるでしょう。恐らく、くゆりさまなら「そーよ、そーよ」と。


09-03 08:59
鉄ネット・タカ
初カキコの鉄ネット・タカです
わざわざ記事リンクしていただきありがとうございました。
端野さんのように、普通の方(ですよね?)が書く【鉄ネタ】は視点が色々でとても面白いです。

嫁さんもSM○Pのライブでいつも利用してたので、今回は【割と】快く送り出してもらえましたw

TV(道内の)なんかの「お別れ特集」なんかで、一般の方の色々な想い出話が出てたりしましたが、結構皆さん【まりも(狩勝夜行・おおぞら夜行含む)】と過ごした経験があるのだと、改めて思いました。

何より驚いたのは(以前も聞いたかもしれないけど、忘れてたのかも!?)、うちの両親が新婚旅行に旅立つ時に披露宴の後【まりも】に乗車してたそうなんですw
昨日聞いてびっくりしました(^_^;)

http://tetsunet.blog.hobidas.com/


09-04 08:02
端野 萬造
>鉄ネット・タカさま
 普通よりも「変」のほうにかなり寄ってる、と自分では判断してますし、周囲は「とても変」だと思われているようです(苦笑)

 ついでに、普通のブロガーであるくろくろさまのまりも記事もご紹介しておきましょう。http://blog.livedoor.jp/haraguro310/archives/51351262.html

 汽笛のこと、タイフォンっていうのですね。勉強になりました(笑) あの最終アナウンスが開始されるタイミングを把握されていて録音の準備をされていたんですよね。ワタシなら、あのオルゴールの音が鳴り始めてから、慌ててスタートするでしょう。

 さて「端萬記」なんですが、「JR運賃表」という検索ワードからこの記事にお見えになられる方がポツラポツラと。古い記事なんですが。http://www.mytokachi.jp/kabamaru_7/entry/208

 近いうちに車内販売ネタをアップしましょう。なんとか今月中には。今後ともご贔屓に。



09-05 15:46
鉄ネット・タカ
>端野さま
>あの最終アナウンスが開始されるタイミングを把握されていて録音の準備をされていたんですよね。
新富士で運転停車するのは把握してたので、動き出したら放送かかると思ってましたw
一応新富士停車中に録音開始して、最終的にパソコンで不要部分をカットする感じですね。

逆に発車直後の放送の場合は、どのタイミングで始まるのか微妙に分からないので、動き出したら録音しっぱなしって感じでしょうか?

>汽笛のこと、タイフォンっていうのですね。
なんとも微妙ですけどね(^_^;)
普通タイフォンというと、『まりも』でいうとヘッドライト上の四角い部分、キハ40などの普通列車はテールライト下の丸い部分から出るエアホーンを指します。
それ以外に運転席上に付いてる警笛もあって、今はこちらを使用してる感じです。
正しくは音色的には屋根上の警笛を鳴らしたんでしょうね。




09-06 00:01
端野 萬造
>鉄ネット・タカさま
 そうですか、真実は警笛なのでしょうね、きっと。電車でGO!で、鉄橋を渡るですとかトンネルに入る直前にタイミング合わせて警笛ならすとボーナスポイントいただけるのを憶い出してしまいましたよ。

 でも、いいや。恥カキついでに放っておきましょう。警笛ですと悲鳴としての意味合いがキツクなりそうな気がしますし。かように創作をする人間の中にはいい加減な者もおります。

 そうそうキハ40について、ちょこっとカキコさせていただいたのが、コチラ。http://www.mytokachi.jp/kabamaru_7/entry/76

 さすがの濃いいコメント恐縮です。また、もうひとつ知識が増えました  

Posted by きむらまどか at 09:59Comments(0)札幌出張