とん田の豚丼で見えてくるもの/流れ移る店舗の歴史

きむらまどか

2012年12月01日 07:22

2008年5月22日(木) 08:30 ▼コメント(8)




帯広名物ぶた丼とん田(とんた)
帯広市東6条南16丁目3 ℡0155-24-4358
定休日 曜日 営業時間 11:00~18:00

参考記事:ロース、ヒレ、バラの3種類が掲載されてます。珍しい!

ぶた丼のとん田
帯広】豚丼食うなら「とん田」がイチバン!
 秀逸な紹介記事です。
ぶた丼のとん田

 メインは「色が少々変だけど許してね」のバラぶた丼肉大盛アップ画像。






雪が見えますでしょ。この訪問は昨年12月のクリスマス・イヴの午後2時頃


 もう気がついたらスッカリ繁盛店になってしまっていた、という帯広豚丼のとん田さまですけど、開店が2003年のことですから、まだ5年しか経っていない。これって、スゴイことだなぁ、と。もう、昼時になるとお客さまが並んでいる、というイメージしかないですものね。相変わらず、日曜日はお休みですし。


標準で味噌椀が付いてきます。中央部に木のフタがしてあるのがたれ。好みに応じてかけます。こういったサービスも画期的


 開店当初からの売りは、「お肉の部位が選べる、お肉の量が異なる、お肉とご飯とそれぞれ大盛にできる」でした。これは帯広豚丼の歴史において、コペルニクス的展開(←本当は転回よ)であったとつくづく思います。良く知られることですけれど、とん田ご主人の武田良美さまは元お肉屋さんです。

 業務用小売は当然のこと、もうちょっと違う形態のお店の営業にも携ってまして、「商売上手」は業界で知られたことでした。そういった方だからこそ、飲食業それも成熟した料理といえる帯広豚丼販売に参入するにあたって、成功するには何が必要か、というのしっかり考えたと思うのですよ。


底に濃いいのが見えますよね。これが武田精肉店伝統のたれ

 味の決め手である「たれ」については、自信があったと思います。帯広のお肉屋さんであれば、たいていオリジナルのたれをお持ちで、それぞれファンがついていましたからね。最近はお肉屋さん自体が減少傾向にありますから、少々残念なんです。でも時の流れには逆らえない。

 ただ、たれだけでは勝負に勝てない。当然業務用の顧客が豚丼を扱っているのを知っているわけですから、それは十分熟知していたはずです。では何をするか。

 豚を1頭さばきますと色んな部位がとれます。ロースばっかりとか、ヒレばっかりとかはありえないワケですね。バラもあれば、カタやスネ、アシなんかもある。ホルモンだって。で、需要量がそれぞれ異なるわけですから、当然そこに人気に応じて価格差が生じる。お肉屋さんですから、そこの部分はよくワカっているわけですよ。ロースやヒレは業務用としても家庭での調理用としても人気が高い。

 それを利用したのが、お客さまにお肉の種類を選択してもらうビジネスモデル。ここにあるのは顧客本意の姿勢なんです。そこに成功の本質があるといっていい。食べたい部位をお客さま自身が選ぶわけですから、満足度は当然高まる。加えて、肉の部位の価格差は量というワカリやすい基準で還元する。



脂身の多いバラ肉には、山椒のピリ辛が実によくマッチする。まさに豚肉による、うな丼。このお肉は現在売り出し中の十勝しかおい豚『ポックルポーク』生産業者の中核、鹿追町倶楽夢農場産の肉。永年の盟友、帯広・有澤精肉店さまのお墨付き。実は有澤さまについても語るべきことは多いんですけど。




帯広豚丼の醍醐味は、なんといってもたれが沁みたご飯。濃厚甘めの味付けが、吉野家豚丼と並んで語られることを拒否しておりますよ。これぞまさに、帯広十勝の伝統なんです。


山椒と並んで胡椒も。帯広豚丼が家庭料理として愛されていることをとん田さまは良くご存知かと


 知られていない事実ですけれど、豚丼屋になる前は同じ場所で武田精肉店さまは営業していました。その期間はそんなに長くはなかったハズ。5年はやっていないんじゃないでしょうか。恐らくそれは予定通りの行動であったのだろうな、とワタシ睨んでます。精肉店の営業って、体力ものすごく必要ですから。現在ご主人はたれの製造を専門にやられている、と耳にしたことがございます。豚肉の焼き場も大変ですもの。

 お肉屋さん30年の歴史の大部分は帯広市内中心部で養われたものです。あれぇ、今の北のうまいもん通りで営業していたんだっけな。どこだったかなぁ。30年以上前の帯広中心部といえば、それは今では考えられない活況を呈していたはずです。競争も激しかったでしょうけれど。だって、市内に大型店なんて存在してなかった時代。極端に言えば、全十勝の住民が帯広駅北側に集まってきていた、といっていい。


両側にタバコの自販機が置かれているのは、斉藤たばこ店の名残なんでしょうね。とん田さまのカウンターに灰皿が置かれているのもその流れかな



 その頃現在のとん田さまの場所ではたばこ屋さんが営業していました。確か、斉藤さんとおっしゃったはず。その名残が今でもあるようですね。たばこ屋さんってのも、ほんと見なくなってしまいましたね。ワタシ、たばこを吸っていた期間はございませんけれど、それでも一抹の寂しさを感じてしまいます。


 そんなわけで、端萬が語る「とん田さまの豚丼」でございました。見事なほど、他の記事と切り口が違いますね。というか、こんなことしかカキコできないのよ、ワタシってば。



コメント(8件)


05-23 11:40
ピョン子
こちらですね~、とぉっても気になっているのですが、
混んでるイメージがありどうも足が向かないのですよ。
基本的に並んでまで食べるのはあまりすきじゃない(好きな人はいないか?)ので、会社からは近いのに行けない場所であります。

でも豚丼は大好きです♪
誕生日に何が食べたい?って聞かれ豚丼!と答えたほど。是非一度尻込みせず伺ってみたいと思います。
あぁ~、山椒&胡椒いいですね。
絶妙だと思います。私は山椒派ですが。

タレが沁みたご飯!たべたぁい・・・デス。




05-23 23:30
端野 萬造
>ピョン子さま
 「とぉっても」で始まり、「たべたぁい」で締めるなんざぁ、なかなかのヲヤヂィ殺しとお見受けいたしましたが、いかがでございましょうか(笑)。

 まったくの平日で午後2時をまわれば、そんなに待つことはないのでは、と。ワタシがお伺いした去年の12/24は振替休日でして、時間は午後2時半頃。店内は一杯でしたけれど行列はなかったですもの。そして、席についてから、箸をつけるまでで約30分。

 そうですねぇ、豚丼で行列のできる店はあと2店舗存じておりますけれど、価格等総合的に勘案して、一番真っ当、なのはとん田さま、とワタシは見てます。並んでも後悔することはない。他のお店でしたら、ワタシは並びません。

 お店帯広豚丼で、最初っから胡椒をかけて供するのは、札内中央町の竹葉寿しさまの豚丼。初めての時は驚きました。「こんなのあり!?」

 ありですぅ。(←ワタシがやっても、気味割悪がられるだけね)




07-20 19:53
kou99
ながすぐる~






07-20 19:54
kou99
ながすぎる~でした




07-20 22:46
端野 萬造
>kou99さま
 貴殿のコメントが苦情なのかご親切なアドヴァイスなのか、あるいは嬉しい悲鳴なのか、余りに短すぎて意図を掴みかねておりますよ。

 一般的なマイとかちブログと比較しまして、「端萬記」は圧倒的に長文です。この記事に限ったことではございません。それがワタシのスタイル。ワタシなりに必要性があってやっていることですし、そのスタイルにそれなりの支持がある、という自負もございます。

 ちなみにGoogle Analyticsによりますとこの記事の直近1ヶ月間のPCによるアクセスは113PVで平均閲覧時間は2分26秒。記事の閲覧としては短いほうでしょうね。「端萬記」のほかの記事ですと4分を「強いる」ものもありますので。

 情報の取捨選択は、読者さまの自主性に任せております。お店の紹介であれば最低限必要と考えられる情報をあえて先頭におき、「余計で冗長な」部分を読まずして済むよう、配慮しているツモリです。
(続く)




07-20 22:47
端野 萬造
(続き)
 それで安心して、書きたいことを延々連ねるワケです。「ツマンなくてもいいの。自分のためのメモだから」
 一読して記事のタイトルと内容がなかなか一致しないことが数多いのは決して意図しているワケではございません。カキコを進めているうちに書き留めておきたい事実や事柄が噴出してしまうことがままあり、その流れに任せる結果、タイトルと内容が乖離してしまうのです。

 まぁ、ワタシにとってのタイトルは記事カキコの動機付けと読者さまに対しての惹句としての意味合いなんでありましてね、内容と相違していても極端な話し構わない。「ご迷惑かけて、申し訳ありません」

 そんなわけで、コメントですら長々とカキコしてしまうのはワタシの「芸風」。アクセス数が欲しいだけなら、分割するなりして記事数を増やせばよろしいのでしょうけれど。そんなアクセスはワタシにとって意味がございませんので。ま、こんなとこでしょうか。




08-03 19:41
Zep400
★"端野 萬造さん

こんばんわ。

とん田さんの 評価は
 私も 十勝の中では
 値段に対して 
  満足度100かと思います。
  




08-03 21:36
端野 萬造
>Zep400さま
 くすくす。ワタシ、豚丼の価格については一言も触れておりません。そして、とん田さまの価格について、決してお得とは思ってはいないんです。あれは相対的に見て、お得な感じがするだけで、価格としては真っ当に過ぎない。他が高すぎるンですよ、実は。

 花畑牧場の豚丼価格1,450円なんていうのは論外でありましてね。ホエーなんてものは、味(すなわち脂身)にはほとんど影響を与えない。これは養豚関係者なら、皆言っていること。まぁ、それは別の話し。

 ただ、その真っ当さは正当な評価を受けているな、と。それが行列につながっております。地元客比率が高いのも特徴かと。

 元祖ぱんちょうさまや駅中ぶたはげさまで行列しているのは、ほぼ豚丼初心者の方々だけですもの。全く評価の質が異なるということですよね。新参とん田さまでの行列は、他の豚丼取扱店への強烈なアンチテーゼであるな、と。

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