パンの満寿屋と雑穀のヤマチューと/無ければ作ろうでいいじゃん

きむらまどか

2013年04月08日 05:35

2008-07-02 08:20:13




Nikkei Business日経ビジネス2008.6.16号

特集 食の細道資源なき国の新・列島改造論

参考記事:
»道民コンセンサス会議落選作/萬造、道庁に行き損ねる
 ↑、日経ビジネス2006.1.30号「誰も言わない食の危機 満腹ニッポンの油断について述べました。

 メインはNikkei Buisiness2008/6/16号37ページで紹介された画像






 日経ビジネス誌がまた日本の食糧問題について、しっかりした記事をアゲてくださいました。残念ながら十勝帯広では書店売りをしていない雑誌なんですけれど、十勝の関係者が見開きでドドーンと紹介されておりましたよ。

 その記事は『パン向け小麦 0.7%からの挑戦』というものでして。




日本人の小麦消費量のうち、最大を占めるのはパンだ。実に4分の1の小麦をパンとして食べている計算になる。ところが国産小麦のうち、製パン向けとされる、いわゆる「強力粉」に分類される小麦粉の生産量は、わずか5%に過ぎない。つまり。国産率13%×製パンに利用できる割合5%。実に日本のパン自給率は「0.7%」という、驚くべき数字になる。(Nikkei Buisiness2008/6/16号36ページより)

 ここで、国産パン向け小麦を育てる三位一体として紹介されているのが、研究機関北海道農業研究センター 西尾善太研究員、雑穀卸売り、製粉山本忠信商店 山本マサヒコ専務、加工・販売業者満寿屋商店 杉山雅則社長の三氏です。うち、山本忠信商店さまは音更町が本社ですし、満寿屋商店さまはますやパンとして、帯広及び近郊に店舗を構えています。ちょっと長くなっちゃいますけど、引用しますね。

(前略)(ますやパンの)杉山社長が地元産の原料にこだわったは、生産者の顔を知り、生産工程を自分の目で確認できるから。地元産の小麦キタノカオリで作られた強力粉を使うことに決めたのも同じ理由だったが、それだけではない。「香りが良く、ふっくらとおいしいパンが焼ける」。杉山社長はその品質にもすっかり惚れ込んでいる。

 小麦の集荷、卸売り、製粉を手がける山本忠信商店(北海道音更町)の山本マサヒコ専務もキタノカオリの品質を認めた1人だ。同社では、十勝産の他品種の小麦とキタノカオリをブレンドして「十勝産100%の強力粉」として「春の香りの青い空」を売り出した。1kgで350円。もちろん外国産小麦で作られた強力粉よりは高価だが、家庭で日常的に買えない金額ではない。全国から注文が届く。

 両氏が口を揃えるのは「安心・安全」という言葉だ。国産だから安全というのは短絡的だが、それでも長期輸送や備蓄を要する輸入品よりも防腐剤や殺虫剤の使用量が少なくて済む。高コストであっても、その「安心・安全」と品質のためには、消費者は相応の対価を支払ってくれる。(後略)


 ま、最初の問題に戻りますとね。パン向け小麦の国産比率が0.7%と異様に低いのはどうやらホクシンに代表される「うどん向け小麦」の生産に偏っていた、というか安定して生産できるのはその品種しかなかった、というのが実態のようです。

 ホクシン(中力粉)で作るうどんの消費量は年々落ちていて、強力粉で作るパンや中華麺の需要は安定しているんですって。需要と供給のバランスが崩れていたところにキタノカオリ(強力粉)が登場したのですね。杉山社長が絶賛するように、その品質は輸入されるパン向け小麦と比べても遜色ない、とのこと。

 こういった記事で、十勝の方が紹介されるって、ほんと気持ちいいものですね。




ついでにご紹介。「米」の生産農家も相当苦しんでおられるようです。そこで米を「ご飯」以外の方法で食べてもらえるような取組が始まっています。「米粉」でパンを焼いたり、麺をつくったり。国産飼料用米もあって「こめ育ち豚・純粋金華豚」の成功は高く評価されているようです。


 まぁ、こういった記事に触れますと、ある企業のことをつくづく思い起こしてしまうわけですよ。「今のところ出番はありません」とそれこそ慇懃無礼に申すよりも地元企業としてするべきことがあるんじゃないかなぁ、って。地域のイメージに寄りかかって商売をしている以上、ある程度の責任分担は必要なんじゃないでしょうかね。ハッキリ言えばまだ可愛いのに。「地元産使うと高くって、儲からないんだよ。社員と自分の生活守るためにしょーがないんだよ」って。

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