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2014年03月15日

仮想現実とはなにか/スカイ・クロラのテクニカルな側面

2008-09-05 08:55:11





 宮崎駿監督作品「紅の豚」との比較もね。戦闘機つながりですし。

仮想現実とはなにか/スカイ・クロラのテクニカルな側面


別冊宝島1546「押井守ワークス+スカイ・クロラ The Sky Crawlers」 映画パンフレットの代わりに紀伊国屋札幌本店でやっとの思いで見つけ出したのがこの1冊。

押井守監督作品 スカイ・クロラThe Sky Crawlers

参考サイト:
»スカイ・クロラ The Sky Crawlers プロモーション映像 /@nifty動画
»スカイ・クロラ The Sky Crawlers/eiga.com
»押井節”全開で各国プレスにポリシー説く/『スカイ・クロラ』ヴェネチア記者会見は重厚な質問続出
»スカイクロラ観賞翌日の興奮fromまんぞうのへりくつ

 「子とかけて水ととく。そのココロは? どちらも草薙でしょう」

 メインは暫定的に草薙水素さまのノーマルパターン。

仮想現実とはなにか/スカイ・クロラのテクニカルな側面



 いうまでもないことですけれど、攻殻機動隊の草薙「中佐」素子(もとこ)さまとスカイ・クロラの草薙「司令官」水素(スイト)さまは全く関係ございません。原作者が違うのですから。

 馬鹿な謎掛けで始めてしまいましたけれど、当初「スカイ・クロラ」に関してはそれほど興味を持っていませんでした。「まりも号のラスト・ウィークに立ち会うための時間潰し」に映画でも観ましょうか、というのがきっかけですから。

 ところがですねぇ、観終えた直後からというか最中から、ワタシ、すっかりハマってしまいましてね、この作品に。アニメと押井守監督については、ほとんど素人同然なんですけれど、さてどこまで語れるか。

明日死ぬかもしれない人間が 大人になる必要ってあるんでしょうか」(by 函南優一

 プロモーションヴィディオをご覧になってしまうと、「ショーとしての戦争」というシチュエーションに引っ掛かってしまうかもしれません。でも、これは単なる設定だとワタシ思いました。当たり前かもしれませんけれど、キャラクターを浮き出させるための手段に過ぎない。スカイ・クロラは戦争反対とかいうテーマとは無関係でしょうね。もう既にそんなことは当然のことになってしまってるんですよ。「戦争は虚しいよ。だけどれることはできないよ、人間である限り。そこに生きていることの哀しさがある」って、押井守監督は表現してるんじゃないかなぁ。そして、それはスカイ・クロラの主題じゃない。

仮想現実とはなにか/スカイ・クロラのテクニカルな側面


ユーイチが眺めるロストック社・兎離洲(ウリス)基地。このシーンでワタシが思い浮かべたのは、なんといっても名作ゲームXevious(ゼビウス)(←クリックするとプレイできます)でございましてね。こいつをアーケードで初めてプレイしたときの驚きといったらなかったんですから。1983年のことでございます。あの時の感動がまざまざと蘇ったココロもちに。


仮想現実とはなにか/スカイ・クロラのテクニカルな側面


これもXeviousを思い起こさせたシーン。ロストック社の主力戦闘機散香が着陸直前、横回転(ロール)するのですがこのお腹の見せ方がタルケンやテラジ(敵の戦闘機の名前ね)が反転して画面から消えていく様子に似ているンですよ。ちなみに画面下方で走っている少女は草薙季(ミズキ)さま。押井作品につきものの犬はバセット・ハウンド。名前は特になくて、飼い主である「笹倉(永久:トワ)の犬」としか。

 最初のほうはですね、とにかく戦闘シーンでの迫力や背景の質感圧 倒されてしまいました。現代のアニメーションやゲームなんかのコンピュータ・グラフィックスの水準でいけば、当然のレベルなのかも知れませんが、なんせワタシ、観ないし、やらないし。20世紀少年で時が止まっておりましてね、味噌が。そのせいか、驚いてしまったのですよ。

 一方、違和感もあったんですよね、画像に。物質はスッゴイリアルな質感で迫ってくるのですけれど、登場人物がアニメアニメしておりましてね。「なんだろう、これ。動くものは質感だすのが難しいのか」、なんて。ところがね、これ意図的なんですって。

 引用枠でご紹介した、別冊宝島1546に「押井守クロニクル」というページがございまして、テレビや映画等各作品を解説しているんですよ。ワタシ、ほとんど意識して観たことないので、どこ読んでも「ヘー、ホー、ハー」状態。

 それでも、スカイ・クロラがヴェネチア映画祭の招待作品からコンペティション参加作品に繰り上がった経緯には、「GOHST IN THE SHELL /攻殻機動隊」と続編「イノセンス」に対する国際的な評価が深く関わっている、ということぐらいはワカるわけです。

 それで、「イノセンス」の項目を読んでおりましたらね、「押井語録」というのがございまして。「3D背景の違和感を逆手にとった」という記述がございました。

 この映画では、背景のかなりの部分が3DCGで処理されているが、あえて2D手描きキャラクターとの違和感を出し、「仮想現実の世界」を作った。


 この「イノセンス」で遣われた手法は、そのまま「スカイ・クロラ」でも生かされたということなのでしょう。ワタシはまんまとそれにハマってしまったというわけです。

仮想現実とはなにか/スカイ・クロラのテクニカルな側面


函南優一(カンナミ ユーイチ)と彼が得意としている戦闘機散香。ちなみにこれは戦闘機のお尻なんです。一般的なプロペラ機はトラクター式といって、機の前方にプロペラがついてますけど、ロストック社(日系企業)はプッシャー式がメイン。冷却という意味で技術的に難しくて、現実社会ではなかなかものになりませんでしたけれど、ジェット機が皆プッシャー式なのはご存知の通り。機能的にはプッシャーが優れているんですって。

仮想現実とはなにか/スカイ・クロラのテクニカルな側面
このシーンは、スター・ウォーズにおけるところの反乱同盟軍のXウィング・スター・ファイターの編隊がまさにスター・デストロイヤーを破壊せんと飛行している感じ。これがアニメーションで観られるなんて!? 戦闘機の質感といい、雲の様子といい、見事な表現力。

仮想現実とはなにか/スカイ・クロラのテクニカルな側面


ロストック社軍とラウンテルン社軍との大規模戦闘での爆発シーン。これ、あくまでもお話しですんで楽しめるんですけどね。正直、美しいですよね。巨大な三角形はロストック社の全翼型重爆撃機。飛行雲が画面に彩りを添えています。

 物質のリアルな質感もさることながら、戦闘シーンのスケール感がまた素晴らしくてですね、散香が急降下する視点なんかでは恐怖を覚えるほどでしたから。ジェットコースターのような爽快感といってもいい。

 戦闘機のアニメーション、しかもプロペラ機(レシプロエンジン機ともいえるのか)といえば、宮崎駿監督作品「紅の豚」でございましょうね。ワタシもこの作品大好きで、レーザーディスクからダビングした(これで15年近く昔だということがバレる)VIDEOを時折取り出しては楽しんでおりますよ。


 それで、スカイ・クロラでの戦闘機のシーンについて押井守監督は以下のように述べております。
 戦闘機という重要なアイテムが出てくるのですが、これに関しては今可能なCGの技術をすべて取り入れています。恋愛映画であり、情緒的な映画ではありますが、戦闘機は戦闘機で結構気合を入れて作っています。今まで誰も見たことがないような空中戦にしようと思っています。実際にそういう意気込みで作っていますので、すごいことになっていると思います(笑)。原作を読んだ方はご存知かもしれませんが、レシプロ(プロペラ)戦闘機の世界なので、一番描き甲斐があるんです。昨今の映画でレシプロ戦闘機をメインにした作品はそんなに記憶にないですね。レシプロ飛行機が持っている独特の魅力は、人間の身体の延長感とか、筋力で飛行機を操っているような醍醐味だと思います。それと、如何に空で戦うことが過酷な世界であるかということを表現しました。何時死ぬか分からない戦争という中で、死の可能性を背負って生きているという主人公たちの在りようを表現するためにも戦闘機による空中戦の世界は、力いっぱいやっています。僕は飛行機ものをやるのが夢でしたし、この作品をやるにあたっての動機にもなっています。恐らく今まで誰もやったことがない空中戦が見られるだろうと思っています。空中戦に関しては、宮さん(宮崎駿監督)よりも自信があります。あの人は自分が一番上手いはずだと主張しているけれど(笑)。

<『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』押井守監督記者会見/公式HPより>

 当然ながら、このアニメーションの世界では宮崎駿監督が大先輩に当たるわけですよ。そして、押井守監督は目をかけられているわけです。名作「ルパン三世 カリオストロの城」の次の劇場用作品を振られたくらいですから。

 でも、だからというべきなのか(笑)、二人はライバル関係にありますし、確執があるとみられているのですね。それについては、コチラ押井守監督と宮崎駿の愛憎と確執/[の] のまのしわざに詳しく述べられております。これ、スッゴイ、面白い。特に押井守監督がワタシの愛する「風の谷のナウシカ」をぶった切ってるナウシカに隠された宮崎駿の陰謀なんかの押井監督評を読みますと「なるほど」って思えちゃいます。「ワタシって、なんだかんだ言っても浪花節的日本人なのよ」

 でも、ワタシ、アニメアニメした紅の豚もやっぱり好きなのね。



 引用枠含めて、文字数制限遣いきってしまいましてね。残りをまんへりで、というのはあんまりなので、記事を分割することにいたしました。続きは「母娘と父子と女と男/スカイ・クロラに観る感情のゆれ」にて。完成はまた伸びますね。まさに「どこまで続くぬかるみぞ」。


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Posted by きむらまどか at 09:38│Comments(0)街の様子/ワタシの様子
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